「アベノミクスの行方」講演録(2019/11/06)

会員の寄稿

この世のパラダイスー菊人形・レビュー・源氏物語を越前市で!
フリーアナウンサー 坂口智美様

「たけふ菊人形」

 今年も天高く菊薫る季節がやってきた。今や全国的に数少なくなった菊人形展だが、11月4日まで越前市武生中央公園で開催されていた「たけふ菊人形」は今年で68回目を迎えた。今までは重厚な歴史絵巻が多かったが、今年は童話の世界がテーマで、菊人形鑑賞も無料となった。

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 「花ひらく童話の世界 Story of the Princess」と題し、シンデレラ、白雪姫、人魚姫、かぐや姫、浦島太郎(乙姫)=写真上=の5つの童話シーンが、計10体の菊人形で展示され、和洋のプリンセスたちが色とりどりの菊の衣装を身にまとい、会場を華やかに彩った。菊の洋装ドレスは新鮮だ。シンデレラコーナーでは貸出ドレスで写真撮影もでき、他の4場面は屋外展示の為、青空の下でのフォトスポットも多く、開放的な雰囲気は世代を超えて大好評。会場には2万株の菊花展示があり、千輪菊や懸崖・大菊・糸菊など愛好家が丹精込めて育てた菊も見ごたえがあった。

 会場内には、新しいアトラクションが増えた遊具エリアもあり、子供たちの歓声が響く。期間中の週末には、サンバパレードやグルメフェスティバルなどのイベントも用意され、秋の一日をたっぷり過ごせる場所だった。

「OSKたけふレビュー」

 そして、菊人形と共に今やなくてはならなくなったのが、今年で「たけふ公演40周年」を迎えるOSK日本歌劇団の公演だ。97年の歴史があるOSKだが、その半分近くの年月、毎年秋には武生にやってきた。この地での公演は特別だ。16年前、OSKが解散の危機に面した際に、越前市市民が存続の署名を続け、支援してくれた。さらに、本拠地を持たないOSKにとって、現在、1カ月にわたるロングラン公演ができる唯一の場所でもある。

 菊人形は期間中無休なので、休演日も1日しかなく、平日は2回、土日祝日は3回公演と、ハードな公演ではないと言えば嘘になる。が、劇団員の感謝の気持ちが、40年間、公演の成功を導いてきた。また、毎年秋には劇団員が、越前市内の小中学校でラインダンス教室を行ったり、地場産業の紙すき体験をしたり、福祉施設や子ども食堂にも出かけ、市民とのコミュニケーションにも努めている。観劇料金も1回2000円(中学生以下無料)と安価なので、全国各地からファンがやってくる。

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 今年の記念公演は、稀代のトップスター・桐生麻耶をはじめ総勢16名のメンバーによる「Viva La Vida!!」。作・演出・振付は、次世代のJAZZ界をけん引する正統派JAZZダンサーの三井聡氏。「60分のショーの中で、お客様と劇団員の熱いエネルギーの針が共に振り切り、最高の時間となるように願いを込めた作品」 と言うとおり、情熱的なジャズとラテンのナンバーによる歌と踊りで、観客はキャストたちと人生を重ね合わせ、「人生万歳!!」と謳歌できる最高のレビューとなった。

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 「稽古の時からすべて全力で手を抜くことが一切無く、スター性と実力、芸に対する真摯な向き合いが、唯一無二のスターを生み出した」と三井氏が絶対の信頼を置く桐生麻耶、スペインにもルーツを持つ彼女にぴったりの作品だ。 『Viva La Vida!』暗転に響く靴音から始まるオープニング。桐生の甘く力強いアカペラソロから、一気に情熱の国へ。 『ルーレット』逃げられない魅力と魔力を持った男役6人。セクシーでため息が出るほどカッコいい。

 『4人の女』セクシー、キュート、チャーミング、ポジティブで魅力的な4人(城月れい・実花もも・穂香めぐみ・柚咲ふう)の女子会トーク・ソングには、思わず同感してしまう。ご当地福井弁を駆使した臨場感に会場は大喜び。 『Viva La Vibar』グラスやボトルの効果音からBGMへ。ファンタジック感満載の一見さんしか入店できない不思議なバーのマスターには、おしゃれで芝居上手な虹架路万。華月奏は、絶対音階と切れのいいダンスで音楽好きの青年を好演。男性にしか見えないジゴロの桐生と城月のタンゴは、まるでアルゼンチンに迷い込んだかのようだ。演者の客席降りで会場が一つになり、一緒にスウィングして無重力になると、本当の自分を発見できる。

 『Whatever will be will be』自分らしく生きた、いつでも誰にも...桐生本人の歩みのような歌をしみじみと、そして希望に満ちて。 『S・A・N・A』ロケットボーイの栞さなは、アイドルらしい端整さで、少年時代の夢とOSKロケットへの憧れを一途に歌う。高速ラインダンスは、OSKの専売特許だ。ロケットと言われるほど早くて圧倒的。リーダーは、穂香めぐみ。今回はステッキを持った難しい振りで、なんと76回の脚上げ!足が地についていないように見え、高速で弾み続ける。他では決して見られない、素晴らしいラインダンスだ。

 『One and only』唯一無二の男役、桐生麻耶のソロダンス。変形白燕尾姿で最小限の振りで観客を別世界に連れていく。その姿はあまりに美しく、神・アポロンが天から下りてきたかのよう。「大丈夫、生きていかれよ」と背中を押された気がするほどの神々しさだった。

 『Sophisticated ladies』劇団屈指の歌唱力を持つ・城月れい率いる娘役だけのナンバー。どの子も彼女にしたいと思うほど魅力的。「男は目で恋に落ち、女は耳で恋に落ちる」全くその通りだ。 『Mystic man』純烈な男役5人の母性本能をくすぐる歌とダンス。 『Viva!!』真っ赤な羽扇で一気にフェナーレへ。 『Parade』おなじみのOSKのテーマソング「桜咲く国」で舞台と会場にピンクの傘があふれ、エネルギッシュで熱い舞台の幕が下りた。

 超満員の千穐楽には、OSK日本歌劇団が越前市の観光振興やイメージアップに貢献しているとして、奈良俊幸市長から「市政功労者」の表彰状と花束が桐生に贈られた。

 しあわせな時というのは、あっという間に過ぎてしまう。明日へのパワーをもらい、幸福感に浸れる素晴らしいショーは、すぐまた観たくなる。まさに『Viva La たけふレビュー!!』である。帰り際、「あの真ん中の人は男性じゃろのう?」「ほやって」「ほや、ほや」。どうやら「絶滅危惧種の男役」ともいえる桐生麻耶は、大阪や東京だけでなく北陸のマダムたちをも魅了したらしい。浦島太郎の気持ちが初めて分かった。帰りたくない。竜宮城には行けないが、武生は逃げない。また、来年、行こう!

第40回たけふレビュー参加劇団員

きりゅうあさや、にじかけろまん、はなづきそう、きづきれい、みはなもも、★ほのかめぐみ、しおりさな、ゆずさきふう、りんかあい、きょうがりく、いぶきけいな、★たきとゆうま、まおりひな、まのんことは、りおんあかり、まれいあやか ★は、越前市出身者

たけふ菊人形HP http://たけふ菊人形.com./ OSK日本歌劇団HP http://www.osk-revue.com/

第32回 源氏物語アカデミー

 「いずれの御時にか、女御・更衣あまたさぶらひたまいけるなかに、、、」で始まる源氏物語。日本の代表的古典文学作品で国内外に多くのファンがいるが、作者の紫式部が越前に滞在していたことはご存知だろうか?

 若かりし頃の一年余りを越前国府に命じられた父・藤原為時に従い、下向している。紫式部が都を離れたのは、このときだけだ。その縁により、越前市では平安時代の庭園を再現した全国で唯一の寝殿造庭園「紫式部公園」もある。そしてさらに、昭和63年から「源氏物語アカデミー」が開催されている。

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 7年前から武生を訪れている私だが、全く知らなかった。文学士として恥ずかしい限りである。毎年3日間、『源氏物語』と紫式部を様々な角度から探求することで、源氏物語をこよなく愛する人々が全国から集まる。講演や対談する講師陣もそうそうたる面々で、ドナルド・キーン氏や瀬戸内寂聴氏も名を連ねた。

 32回目を迎える今年のテーマは「源氏物語と雲」。1日目のみ可能だったので参加した。会場のホテルクラウンヒルズ武生には100人余りの参加者がおり、開講式に引き続き、同志社女子大学名誉教授・朧谷 壽氏と「染司よしおか」6代目当主・吉岡更紗氏との対談「源氏物語の色」。講演は、駒沢女子大学教授・池田節子氏の「源氏物語の天気」。どちらも興味深い内容で、しばし女子大生のごとく学ぶことのしあわせを感じた。そのほかのプログラムは、講演だけでなく、越前和紙の里散策や絵巻観覧、懇親を兼ねた宴席も企画された。

 来年度の実施は、10月24~26日の予定。文学・芸術・歴史・風土、各方面から源氏物語の世界にどっぷり浸れる3日間。是非、越前の地で、体験してほしい。 問い合わせ先:源氏物語アカデミー委員会 TEL 0778-23-5057 Email:info@genji-ac.jp

 11月6日には、越前がにの漁も解禁となった。芸術・文化・歴史・食のパラダイスに、行こっせ!