関西で活躍する若い才能を応援する朝日新聞社の第5回「朝日21関西スクエア賞」に、詩人で「釜ケ崎芸術大学」創設者の上田假奈代(かなよ)さん(43)が選ばれた。
「釜ケ崎芸術大学」は、上田さんが主宰するアートNPO法人「こえとことばとこころの部屋」(略称ココルーム)の活動で、大阪市西成区のあいりん地区(釜ケ崎)を舞台に、第1期は2012年11月に開始。今月までに42コマを開催し延べ571人が受講した。
美術家の森村泰昌さんや詩人、哲学者、天文学者を講師に招き、日雇いの労働者や野宿者らさまざまな人たちが通った。
上田さんは奈良県出身。03年に大阪・新世界を拠点にココルームを結成した。労働者の街で「自分を表現することの喜びを感じてもらう」ことを狙いに、元ピアニストのホームレスの男性のコンサートなど多彩な企画を実施。独り暮らしの高齢者の調査にも取り組み、暮らし、福祉、芸術、社会を結びつける活動を担ってきた。上田さんは「この地域での10年の取り組みが積み重なり、芸術大学に結びついた。だれでも参加できる青空大学のようなものをつくっていきたい」と話している。