2017.4
No.190

会報最新号

2017.4 No.190

つないで閉じるのが大変だった

作家 森見 登美彦さんと『夜行』を読む

旅が引き込む不気味な異世界

 謎めいた女性が描かれた連作の銅版画を狂言回しにして、登場人物たちが旅先で出会った怖い体験を次々に語る。森見登美彦さんの「10年目の集大成」と銘打った新刊『夜行』(小学館)は、現実と地続きになった不気味な異世界を垣間見せてくれる小説だ。朝日新聞社主催の第20回中之島どくしょ会が3月12日、大阪市北区の朝日新聞大阪本社アサコムホールであり、作者が執筆のきっかけや出版までの苦労を語った。

2017.3 No.189

「怪優」佐々木孝丸に魅せられて

ノンフィクション作家 砂古口 早苗さん

志高き悪役の実像に迫る評伝

 俳優・佐々木孝丸(1898~1986年)をご存じか。古くからの映画ファンなら、名前は忘れても顔を見ればすぐ思い出すに違いない。「主役食いの名悪役、知の巨人だったこの人を、もっともっと多くの人に知ってほしいの」。ノンフィクション作家・砂古口早苗さんの新著『起て、飢えたる者よ 〈インターナショナル〉を訳詞した怪優★佐々木孝丸』(現代書館)は、そんな思いを込めた異色の評伝だ。

2017.1&2 No.188

日比の友情、民力でつないだ20年

公益社団法人 アジア協会アジア友の会

水道建設、戦争の恨み乗り越え

 大阪のアジア協会アジア友の会(JAFS)は、質の良い水を得られないで苦しむアジアの貧しい地域に井戸を掘るなどの支援をしている公益社団法人だ。同会がフィリピン、パナイ島のパンダン町に建設した延長 10km の水道は、規模の大きさ、現地との協力体制づくり、運営のすばらしさで、NGO活動の手本とされている。2016年10月、日比両国の関係者が現地に集い、水道の通水20周年を祝った。

2016.12 No.187

子ども巻き込んだ犯人許せない

塩田 武士さんと『罪の声』を読む

グリコ・森永事件の闇に切り込む

 関西を主な舞台にして製菓・食品会社を次々に脅迫したグリコ・森永事件。塩田武士さんの新刊小説『罪の声』(講談社)は、入念な取材と大胆な仮説で、昭和最大級の未解決事件と言われる同事件の闇に切り込んだ意欲作だ。第19回中之島どくしょ会が11月15日、大阪市北区中之島2丁目のフェスティバルスイートで開かれ、作者自身が執筆の動機や経緯を詳しく語った。聞き手は講談社の担当編集者、戸井武史さん。

2016.11 No.186

技術を磨く。面白く、読みやすく

門井 慶喜さんと『ゆけ、おりょう』を読む

基本は人間コミュニケーション

 「坂本龍馬の妻だからではなく、一人の独立した魅力的な女性だと感じて描きました」――第18回中之島どくしょ会が10月7日、大阪市北区中之島2丁目のフェスティバルスイートで開かれ、歴史小説『ゆけ、おりょう』(文藝春秋)の作者、門井慶喜さんが登場した。執筆の動機を述べた門井さんは、主人公の魅力を、より面白く、読みやすく読者に伝えるために、いかに計算をめぐらし、技術を磨いたかを語った。

2016.10 No.185

開いた寺、もっと生かす人の輪を

「いのちの文化」を市民と育む 浄土宗應典院

再建20周年。新たな展開へ変革中

 檀家を持たない。葬式・法事をしない。大阪の浄土宗大蓮寺塔頭、應典院は、型破りなお寺だ。「今の仏教でいいのか」と根源的な問いを投げかけ、宗教・非宗教、宗派を隔てず、市民に広く門を開いてさまざま企画を仕掛けてきた。来年は寺再建から20周年。さらに新たな展開を目指して変革に取りかかっている。今春、第三代主幹に就任した秋田光軌さん(31)をはじめ、スタッフたちの志は熱く高い。

2016.8&9 No.184

自転車レーサーの消せない刻印

近藤史恵さんと『スティグマータ』を読む

スポーツ小説に「なぜ」の謎交え

 新刊小説『スティグマータ』(新潮社)の作者、近藤史恵さんをゲストに招き、第17回中之島どくしょ会(朝日新聞社主催)が7月15日、大阪市北区中之島2丁目のフェスティバルスイートで開かれた。『サクリファイス』『エデン』に続く自転車ロードレース長編の第3作。海外を舞台にして異色のテーマに取り組むようになった経緯や、さらに複数書き継いでいるシリーズ小説の楽しさを語ってもらった。

2016.7 No.183

見届けたい。本当の平和戻るまで

宝塚・アフガニスタン友好協会代表 西垣 敬子さん

「私の生きがい」はるかな国を行く

 世界中に交通網が四通八達して地球が小さくなったといっても、アフガニスタンはやっぱり遠い。怖い国でもある。宝塚・アフガニスタン友好協会代表の西垣敬子さんはそこへ、80才の今も1人で出かける。戦火に傷つき、貧困に苦しむ人々を、既成の組織に頼らずに支援し続けて22年。「この国の行く末をしっかり見届けたいの。これが私の生きがいですから」。情熱とフットワークは衰えを知らない。

2016.6 No.182

自分の人生、生き切った女性天皇

西山 厚さん「語りだす奈良」& 玉岡 かおるさん「 天平の女帝 孝謙称徳」

政治・恋・信仰...いばらの道歩み

 歴史小説「 天平の女帝 孝謙称徳」(新潮社)の玉岡かおるさんと、エッセイ「語りだす奈良 118の物語」( ウェッジ)の西山厚さんをゲストに招いて、第16回中之島どくしょ会(朝日新聞社主催)が5月13日、大阪市北区中之島2丁目のフェスティバルスイートで開かれた。いばらの道を歩んだ女性天皇をめぐる対談は、次第に熱を帯び、親子の情愛や子育て、男女の仲の機微から、現代の男女共生にまで及んだ。

2016.5 No.181

小説が飛びたがる時をとらえる

作家 いしいしんじさんと『よはひ』を読む

窓を閉め、原稿100回読み返し

 小説のライブと言ったらいいのだろうか。名付けて「その場小説」。第15回中之島どくしょ会(朝日新聞社主催)が3月6日、大阪市北区中之島2丁目の朝日新聞アサコムホールで開かれ、作家、いしいしんじさんが、新著『よはひ』(集英社)に登場する息子のひとひ君(5つ)と一緒に出演。会場を埋めた100人を超す聴講者の前で実際に小説を書いて披露するとともに、質問に答えて自らの創作方法を語った。

2016.4 No.180

「芸術は、間違っていてもよい」

現代美術家 森村 泰昌さん、個展を前に講演

「何を」「いかに」描いたかを探る面白さ

 絵画に登場する人物や歴史上の有名人に自ら扮したセルフ・ポートレート写真で国際的に知られる現代美術家、森村泰昌さんの大規模個展「森村泰昌:自画像の美術史-『私』と『わたし』が出会うとき」(国立国際美術館/朝日新聞社主催)が4月5日から6月19日まで、大阪市北区の国立国際美術館で開かれる。開幕を前に、森村さんが3月16日、朝日新聞大阪本社アサコムホールで、「笑う美術史」と題して講演。「芸術は、おもしろければ間違っていてもよい」と大胆な持論を展開し、個展の狙いや写真・絵画の見方、楽しみ方を語った。

2016.3 No.179

路地裏の小劇場 語り演じて44年

紙芝居師 鈴木 常勝さん

「子どもたちから教わるんや」

 鈴木常勝さん(68)は、今では数少ないプロの紙芝居師だ。20歳代半ばで当時すでにほとんどなり手がなかったこの仕事に飛び込み、44年になる。「紙芝居はね、『こ こと違う別世界』へ子どもを誘う路地裏の小劇場。語り聞かすだけやない。子どもたちから俺も教わるんや」。研究者として著作し、大学などの教壇に立つ一方、とって おきの出し物と駄菓子を積んだ自転車を引いて、自ら街へ繰り出す。

2016.1&2 No.178

美しい声たちが語る残酷な記憶

『優しい鬼』柴田 元幸さん、レアード・ハントさん、柴崎 友香さん

複数の時と場所から奴隷制問う

 初めて海外からゲストを迎えて、第14回中之島どくしょ会(朝日新聞社主催)が11月30日、大阪市北区中之島2丁目のフェスティバルスイートで開かれた。アメリカ人作家、レアード・ハントさん、アメリカ文学研究者、柴田元幸さんに、芥川賞受賞作家、柴崎友香さんが加わり、ハントさんが著して柴田さんが翻訳した小説『優しい鬼』(朝日新聞出版。原題『Kind One』)について語り合った。

2015.12 No.177

市民参加オペラ「天空の町」大阪へ

NPO法人 東京オペラ協会 & オペラプラザ関西

「歌って演じる喜びを広めたい」

 銅の製錬所が出す煙で荒廃した山を緑によみがえらせた男のオペラ「天空の町―別子銅山と伊庭貞剛」が来年5月8日に大阪で公演されることが決まり、主催のNPO 法人東京オペラ協会などによる実行委員会が発足した。銅山の地元、愛媛県新居浜市で12年に初演して以来、毎回各地で市民から出演協力者を募って重ねた公演は、海外 も含めてすでに20回。そのパワーは、どこから生まれてくるのだろう。

2015.11 No.176

人情小説 ! ─よし、書きましょう

坂井 希久子さん『ヒーローインタビュー』『泣いたらアカンで通天閣』

知らない世界へ大胆チャレンジ

 万事せちがらいこの時代、現代人情小説などという文学ジャンルは、果たして成り立つのだろうか。坂井希久子さんの『ヒーローインタビュー』(ハルキ文庫)と『泣 いたらアカンで通天閣』(祥伝社文庫)は、そんな疑問を吹き飛ばしてくれる快作だ。第13回中之島どくしょ会(朝日新聞社主催)が9月16日、大阪市北区中之島2丁目のフェスティバルスイートで開かれ、作者自身が創作の経緯をつぶさに語った。

2015.10 No.175

映画は大勢で一緒に見るんです

シネ・ヌーヴォ 名画を発信し続けるミニシアター

消えゆくフィルムにこだわって

 大阪市西区九条にあるシネ・ヌーヴォ(フランス語で「新しい映画館」)は、熱心な映画ファン垂涎のスポットだ。下町の裏通りに静かにたたずみ、2つのホール合わ せて100席足らずで頭に「超」の字が付きそうなミニシアターながら、よそでめったに見られない国内外の名画を新作、旧作織り交ぜて次々に上映し、他府県からも訪れ る人が絶えない。元気の源を知りたくて、押しかけ取材を敢行した。

2015.8&9 No.174

歴史を探ると現代が見えてくる

 作家 葉室 麟さんと『決戦!大坂城』を読む

斬新な視点で7人が掘り下げ

 『決戦!大坂城』(講談社)は、7人の作家による異色の歴史・時代小説アンソロジーだ。第12回中之島どくしょ会(朝日新聞社主催)が7月5日、大阪市北区中之島2丁目の朝日新聞アサコムホールで開かれ、巻頭の「鳳凰記」を書いた葉室麟さんが、互いの筋書きがわからない競作のだいご味や、現代において歴史を掘り下げることの意味を語った。聞き手は、講談社第五事業局文芸第二出版部の塩見篤史副部長。

2015.7 No.173

あるがままに生き、ルーツ訪ねて

在日コリアン二世の舞踊家 裵梨花さん

ドキュメント映画、全国公開へ

 京都市に住む裵梨花さん (62) は、在日コリアン二世の舞踊家だ。請われて長編ドキュメント映画に「主演」し、民族舞踊を教える日々や、かつて父がたどった韓国―日本の道を自らのルーツを訪ねて旅する姿を撮った。両国の人々が政治などにもてあそばれず、もっと仲良くなってほしいとの願いからだ。その作品「花のように あるがままに」(港健二郎監督)が完成した。今秋からの全国公開を目指す。

2015.6 No.172

真実に迫る うまいうそを求めて

木下昌輝さん『宇喜多の捨て嫁』 × 朝井まかてさん『阿蘭陀西鶴』

資料の陰から歴史を掘り起こし

 『阿蘭陀西鶴』の朝井まかてさんと、『宇喜多の捨て嫁』の木下昌輝さんは、ともに大阪に生まれ、大阪文学学校で小説を書く腕を磨いた先輩、後輩だ。第11回中之島どくしょ会(朝日新聞社主催)が5月12日、大阪市北区中之島2丁目のフェスティバルスイートで開かれ、二人がお互いの作品を忌憚なく評し、時代・歴史小説をつくる苦心と楽しさを語り合った。司会は、朝日新聞生活文化部の野波健祐記者。

2015.5 No.171

風雪に耐えて守り通した涅槃図

京都・浄土宗西山禅林寺派西念寺住職 岩田 浩然さん

念願の修復実現めざし再び公開

 京都の街にはときどき、びっくりするお宝が隠れている。もちろん、金銀や宝石ではない。4月29日から始まる春の非公開文化財特別公開(京都古文化保存協会主催、朝日新聞社特別協力)で再び公開される西念寺の涅槃図は、数少ない平安後期の作であることが近年わかり、重要文化財級と鑑定された。幾多の風雪に耐えて生き残ったのは、寺や多くの人々が、ひたむきな信仰で守り通したからこそだ。

2015.4 No.170

「僕の基本はノンフィクション」

作家 黒川 博行さんと『後妻業』を読む

徹底取材し、半歩先行く犯罪小説

 フィクションを地でいくような事件が発覚し、今や流行語になった『後妻業』――第10回中之島どくしょ会(朝日新聞社主催)が3月13日、大阪市北区中之島2丁目のフェスティバルスイートで開かれた。作者の黒川博行さんが、友だちの歌人・道浦母都子さんを聞き手に、「別の事例をモデルにして小説化し、私の方が先に発表しました」と、作品ができるまでの経緯を初めて詳細に語った。

2015.3 No.169

言葉の力を信じたコラムニスト

作家 後藤 正治さんと『天人 深代惇郎と新聞の時代』を読む

活字ジャーナリズムへ「頑張れ」

 朝日新聞朝刊一面のコラム『天声人語』の筆者として昭和の後期に光を放ち、若くして惜しまれながら世を去った深代惇郎――第9回中之島どくしょ会(朝日新聞社主催)が1月27日、大阪市北区中之島2丁目のフェスティバルスイートで開かれ、ノンフィクション作家の後藤正治さんが、伝説のコラムニストの足跡を多くの人の証言をもとにたどった新刊『天人 深代惇郎と新聞の時代』(講談社)について語った。聞き手は、元朝日新聞記者で関西スクエア初代事務局長の落合健二さん。

2015.1 No.168

「最良の問い」を提示したかった

作家 吉村 萬壱さんと『ボラード病』を読む

大震災後の社会状況に違和感

平易な文体と、東日本大震災後の世界を思わせる、重く難解な問いかけ――『ボラード病』(文藝春秋)は、不思議な読後感を引き起こす小説だ。第8回中之島どくしょ会(朝日新聞社主催)が12月1日、大阪市北区中之島2丁目のフェスティバルスイートで開かれた。作者の吉村萬壱さんが「ボラード病って何ですか。書いた本人がわからないんです」とざっくばらんに語り、執筆のきっかけや経緯を明かした。

2014.12 No.167

花山天文台が誘う すてきな宇宙

京都大学花山天文台 青木 成一郎 博士と見る

市民愛好家らとともに歩んで85年

京都市にある花山天文台は、関西で最も親しまれてきた天体観測施設だろう。正式名は京都大学大学院理学研究科附属天文台花山天文台。日本で2番目の大学天文台として1929(昭和4)年に設立されて以来、現在も研究員が常駐するだけでなく、天体観望会などの催しを熱心に開いて市民天文愛好家に広く門戸を開き、「アマチュア天文学の聖地」と呼ばれている。愛される理由を知りたくて、秋の一日、同天文台の青木成一郎博士に案内してもらい、施設を見学した。

2014.11 No.166

米作り・普及こそ、わが生きる道

兵庫県朝来市の専業農家 髙本 彰一さん

「おいしく安全」こだわり抜いて

兵庫県朝来市和田山町で髙本農場を営む髙本彰一さん(72)は、米作り一筋に打ち込む専業農家だ。無農薬・減農薬栽培を学んで実践し、自家米で麺などの製品を次々に考案した。さらに、消費者に直接販売するだけでなく、料理を実際に食べてもらおうと、周囲の心配を押し切って、ごはんやさんまで開店した。米食普及にかける情熱は衰えを知らない。何がそこまで、髙本さんを駆り立てるのだろう。

2014.10 No.165

今こそ生かしたいマチカネワニ

化石発見50周年記念シンポジウムを前に

江口太郎教授に聞く 研究の歩みと考現学

大阪に、体長7mもある巨大ワニが生息していたことをご存じだろうか。それも、遠い恐竜時代ではない。長い地質年代の中では現代といってもいい、わずか約45万年前のことなのだ。マチカネワニと呼ばれるその化石が大阪府豊中市の大阪大学構内で発見されてから今年で半世紀の50年。11月16日に同大学主催で、記念シンポジウム「マチカネワニ・サミット2014」が開かれる。仕掛け人の一人である江口太郎・大阪大学招へい教授を、化石を保存・公開している同大学総合学術博物館へ訪ね、この間の古代ワニ研究の歩みを聞いた。

2014.09 No.164

医者の言い分 vs. 患者のさけび

作家 久坂部 羊さんと「悪医」を読む

がん闘病、2つの視点から克明に

治療に万策尽きた医者と、何としてでも治って生きたい患者――第3回日本医療小説大賞を受けた久坂部羊さんの小説「悪医」(朝日新聞出版)は、現代の医療が抱える古くて新しい問題を、鋭くえぐった小説だ。朝日新聞関西スクエアの第7回中之島どくしょ会が7月31日、大阪市北区中之島2丁目のラ・フェットひらまつで開かれ、医師でもある作者自身が、作家になるまでの道のりや創作の経緯を語った。

2014.08 No.163

「フリペ&フリマガウォッチ②」

「フリースタイルな僧侶たちのフリーマガジン」
坊主よ街へ出よう! 宗派超えて仲間集う

頑張るフリーペーパー、フリーマガジンを紹介する連載の第2回は「フリースタイルな僧侶たちのフリーマガジン」(略称「フリスタ」)。京都の浄土宗総本山知恩院に奉職する池口龍法さん(33)が代表を務め、仏教各宗派の仲間が垣根を超えて集う。隔月刊で発行して街中のカフェやバーで配り、若者たちを「お寺へ行こう。仏教をあなたの生き方に」と誘っている。

2014.07 No.162

「フリペ&フリマガウォッチ① 月刊島民」

表も裏も教えます 中之島の百科事典

フリーペーパー、フリーマガジンが元気だ。パソコン、インターネットとデスクトップパブリッシングが普及し、プロの新聞社、出版社が囲っていた情報発信の垣根が低くなった。かつては無代広告紙などと呼ばれたが、企業や広告収入に頼り切らず、企画・編集に工夫を凝らしているところも多い。活字離れがいわれるが、「紙」もまだまだ捨てたものじゃないと思う。そして何より、タダなのが大きな魅力。既成メディアにとっては脅威でもある。わが「関西スクエア」会報もフリーマガジンのはしくれ。気になる仲間、ライバルたちを訪ね歩いた。

2014.06 No.161

「面白い」こそ僕の小説のいのち

作家 和田 竜さんと「村上海賊の娘」を読む

4年半、この1作に打ち込んで

2014年本屋大賞を受賞した和田竜さんの小説「村上海賊の娘」(新潮社)は、取材・執筆に4年半をかけたスケールの大きな歴史小説だ。朝日新聞関西スクエアの第6回「中之島どくしょ会」が5月27日、大阪市北区中之島2丁目のフェスティバルスイートで開かれ、作者自身が、出版社の担当編集者を交えて、構想から完成させるまでの過程をつぶさに語った。聞き手は朝日新聞大阪本社生活文化部の柏崎歓記者。

2014.05 No.160

宝塚流 きれいのヒ・ミ・ツ

ヘアーメーキャップアーティスト CHIHARU さん

第2回 宝塚歌劇100周年

宝塚歌劇の100周年を記念した朝日新聞社の「ライブ☆タカラヅカ」第2回が4月26日、大阪市北区のヒルトン大阪で催された。ゲストは、同歌劇団OGでヘアーメーキャップアーティストとして活躍するCHIHARUさん。 「宝塚流きれいのヒミツ」をテーマに、音楽学校や歌劇団時代の思い出や、メークの世界に転身したきっかけを語った。後半は来場者からモデルを募ってメークの悩みに答え、実演を披露した。

2014.04 No.159

1束の史料から歴史掘り起こし

作家 澤田 瞳子さん「満つる月の如し 仏師・定朝」

読み込み、想像する苦労と楽しさ

わずかに残る史料を手がかりに、想像力の光を縦横に注ぎ、長い時間の闇に埋もれていた人間像を浮き彫りにする――宇治・平等院鳳凰堂の阿弥陀如来像の作者を主人公にした澤田瞳子さんの小説「満つる月の如し 仏師・定朝」(徳間書店)はそんな力作だ。

2014.03 No.158

リアルな意外さ、とことん追って

 作家 貴志 祐介さん「ダークゾーン」

真剣勝負のエンターテインメント

 「ダークゾーン」(祥伝社文庫)は、異世界の都市廃虚を舞台に、将棋のプロ棋士を目指す若者が知人たちとともにゲームの駒に変えられ、2組に分かれて壮絶に殺し合う物語だ。朝日新聞関西スクエアの第4回「中之島どくしょ会」が1月28日、大阪市北区中之島2丁目のフェスティバルスイートで開かれ、作者の貴志祐介さんが、創作の狙いや苦心を語った。

2014.01 No.157

「 夢を伝える」忘れずに

トーク&うた 若葉 ひろみさん& 三矢 直生さん

宝塚歌劇100周年

宝塚歌劇が2014年に100周年を迎えるのを記念し、朝日新聞社は、歌劇団の卒業生らを招くイベント「ライブ☆タカラヅカ」を、シリーズで開催します。2013年11月26日に大阪市北区中之島2丁目のフェスティバルスイートで開いた第1回は、元花組の若葉ひろみさん、三矢直生さんが、落語家の林家花丸さんを聞き手に、午後のひととき、楽しいトークと歌を披露しました。

2013.12 No.156

人称と時制 こだわり抜いた1年

作家 藤野 可織さん「爪と目」

遅れたけれど出版社も深く納得

作家が自作を語る、朝日新聞関西スクエアの第3回「中之島どくしょ会」が11月14日、大阪市北区のフェスティバルスイートで開かれた。 ゲストは今年、芥川龍之介賞を受賞した作家の藤野可織さん。受賞作「爪と目」を書き上げるまでの苦闘から、大好きな映画や家族のことまで、会場からの質問にも答え、ざっくばらんに語った。 聞き手は、単行本の出版元である新潮社の編集者、大庭大作さんと平出三和子さん。

2013.11 No.155

釜芸2年目、笑って熱烈開講中

詩人・NPO法人こえとことばとこころの部屋代表 上田 假奈代さん

日雇い労働者の街に根を張り、学び合い

 釜ヶ崎芸術大学が今年も開講した。日本最大の日雇い労働者の街、大阪・釜ヶ崎で、「これまでの人生に大学へ行くという選択肢がなかった人の多いこのまちに、楽しい学びの場を」と、様々な技能・知識を持った人たちが講師になって始めて2年目。主宰するのは、表現と社会の関わりをさぐるNPO法人こえとことばとこころの部屋(通称ココルーム)。第5回朝日21関西スクエア賞を受賞した、詩人の上田假か奈な代よさんが代表を務める。今期は学び合いの輪が広がって科目と講座を大幅に増やし、学生も増えた。授業に通う人々は、親しみを込めて「釜かま芸げい」と呼ぶようになった。

2013.10 No.154

大好きなルソー、わが心の友!

 作家 原田 マハさん「楽園のカンヴァス」

「 いつか書く」胸に温め続け25年

 作家が自作を語る、朝日新聞関西スクエアの第2回「中之島どくしょ会」が9月20日、大阪市北区のフェスティバルスイートで開かれた。 ゲストは原田マハさん。画家アンリ・ルソーを描いた「楽園のカンヴァス」(新潮社)を取り上げ、若いときから抱き続けたルソーへの深い愛着や、自身とアートとの関わり、作品化を構想してから執筆を決意するまでに25年を費やしたといった創作の舞台裏を明かした。

2013.8 No.153

コウノトリの郷で有機農業指導

兵庫農漁村社会研究所代表・神戸大学名誉教授 保田 茂さん

「 ライフワーク」農家と市民つなぐ懇話会も

 梅雨が明けた。夏空にコウノトリが舞っていた。白と黒の翼を力一杯はばたかせて、4羽、5羽、6羽...。「 こんなにたくさん見られるのは珍しい。ほんまに戻ってきてくれたんやなぁ」――緑一面の田園が広がる兵庫県豊岡市郊外。ここが保田茂さんの故郷であり、仕事場だ。絶滅の危機にあるコウノトリを野生に帰す事業に呼応し、人にも鳥にも安全な無農薬有機農業の指導・普及に打ち込んで10年になる。その成果は少しずつ 着実に輪を広げ、実を結びつつあるようだ。あぜ道に立って目を細める農学者の姿は、健やかに育った我が子を見るようにうれしそうだった。 

2013.7 No.152

二つの道から「気づき」を求めて

西 加奈子さん ≪作家対談≫ 津村記久子さん
「 ふくわらい」「ウエストウイング」

関西ゆかりの作家を招く関西スクエアの第1回「中之島どくしょ会」が6月13日、大阪市北区のフェスティバルスイートで開かれた。 ゲストは、西加奈子さんと津村記久子さん。西さんの「ふくわらい」、津村さんの「ウエストウイング」(ともに朝日新聞出版)などの作品について語り合い、詰めかけた読者、ファンの質問に答えた。